いつも心に太陽を

とうきょうにはそらがない。
ほんとうにそうだ。
たしかに、そうだ。

高村光太郎の智恵子抄。
いまの東京には本当に空がない。

太陽の輝きも、
月の美しさも、
星空はもう、
まったく違う。

あたしの育った、
東京は不夜城。

昼も夜も
常に誰かが行き交う街。

東京は不夜城。
夜でさえ、明るい、
星空のない街。


東京には空がない。

うちには日差しは入らない。
トイレにある小さな窓から覗き込んだ
それがうちから見える
ただひとつのあおぞら。


唯一の青空。


東京には空がない。


あたしの住む湾岸区域は
唯一埠頭から海風が入り込んでくる。

潮風。


潮風のにおい。
風のにおいをかぐとあたしはなぜか安心する。


東京には空がない。
時々とどく風のにおい。


たとえ肉眼で空はあまり見えなくても
どんなに疲れていても
とっても忙しくても、

太陽を感じていよう。

とっても辛いことがあったら
風に吹かれよう。



いつも心に太陽をもっていよう。
こころにある太陽は
決してあたしを裏切ったりしないから。